運の暴力性=贈与性「狂ひ凧」

青い空に凧が五つ六つ揚がっているのを見た。凧の位置からして、ドブ川の岸あたりから揚げていると思われる。風が強く、またそこらで気流が渦巻くらしく、凧はすべて不安定に揺れ動いていた これは、梅崎春生の「狂ひ凧」という著作からの引用である。梅崎の…

小島信夫メモ「抱擁家族」

抱擁家族 (講談社文芸文庫) 作者: 小島信夫,大橋健三郎 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 1988/01/27 メディア: 文庫 購入: 2人 クリック: 35回 この商品を含むブログ (72件) を見る 小説の力点の移動 抱擁家族に於いて、まず重要なのは、主人公の三輪俊介が…

ヒューム

愛国心とはどこからくるのか。事実、論理的に考えれば、日本人である理由など交換可能なものだ。歴史性というけれども、それも交換可能なもので、国あるいは、土地に必然性はない。しかしこの、交換可能なものに、趣味判断が侵入すると交換可能なものが交換…

江藤淳①メモ

これから私が書こうとするのは、必ずしも江藤淳についてだけではない。寧ろあり得べき「私の江藤淳」を頭に描きながら、これを書こうとするものである。もとより江藤淳のテクストだけでは「江藤淳」と云う文人を理解する事は出来ない。彼の後ろ側に絶対に立…